第116回 ビザ切り替えでハイリスク認定、申請却下の危機に
ビザ申請は簡単だと思わない事。
永住権取得目的での学生ビザ申請はNG
ウェビナーに参加した際、最近の学生ビザ申請で申請代行を利用したケースにおいて、1,400ページもの証拠書類が提出されたという話があり、プレゼンをしていた移民局の担当者も、あまりにも多すぎると指摘していました。(ENZ、2025年3月5日)確かに1400ページの証拠書類の量は膨大ですが、ビザ申請では証拠がすべてです。証拠は少ないよりも多い方がよく、提出用に厳選して提出すればよいのです。実は、学生ビザの申請は決して簡単なものではありません。
昨年、学生ビザ申請中のクライアント様向けに審査官からPPIレターが届きました。内容は、学生ビザ申請を申請しているクライアント様が「Bona fide条件を満たしていないので、このままでは却下される」と記載されたPPIレターでした。 Bona fide要件は、学生ビザに限らず観光ビザやワークビザなど短期ビザ全般に適用されます。
短期ビザは一時的な滞在が前提であり、「単にニュージーランドに1日でも長く滞在したい」や「永住権取得の手段としてビザを利用したい」といった滞在目的ではBona fide要件を満たさず、ビザ申請が却下されることになります。例えば学生ビザの場合、申請者が本当に学業目的で学生ビザを申請しているのかなど、申請したビザの目的に沿った滞在をするか、またビザルールを適切に遵守出来るか等を証明することが重要なポイントとなります。ちなみに、過去の不法就労歴に加え、ビザ申請者だけでなく、扶養家族の不法滞在歴もBona fideの審査対象になります。
昨年、学生ビザ申請中のクライアント様向けに審査官からPPIレターが届きました。内容は、学生ビザ申請を申請しているクライアント様が「Bona fide条件を満たしていないので、このままでは却下される」と記載されたPPIレターでした。 Bona fide要件は、学生ビザに限らず観光ビザやワークビザなど短期ビザ全般に適用されます。
短期ビザは一時的な滞在が前提であり、「単にニュージーランドに1日でも長く滞在したい」や「永住権取得の手段としてビザを利用したい」といった滞在目的ではBona fide要件を満たさず、ビザ申請が却下されることになります。例えば学生ビザの場合、申請者が本当に学業目的で学生ビザを申請しているのかなど、申請したビザの目的に沿った滞在をするか、またビザルールを適切に遵守出来るか等を証明することが重要なポイントとなります。ちなみに、過去の不法就労歴に加え、ビザ申請者だけでなく、扶養家族の不法滞在歴もBona fideの審査対象になります。
ハイリスク申請認定で審査のハードルがかなり上がる
申請前にこの方のビザ査定を行い、この方自身が過去に他国でビザ申請を却下された経歴があったことが判明しました。他国を含むビザ却下歴もビザ申請での審査対象となります。Bona fide対策に加え、該当国の法律や雇用主の方の勝訴判決文、大統領令まで徹底的に分析し、ビザ申請却下自体が不法だったので、この方に落ち度はないこと等法的根拠を盛り込んだ弁論書を作成しましたが、それでも、本件のビザ申請は「ハイリスク申請」に分類されてしまいました。
到底納得できない、審査官の挙げたビザ発給出来ない理由
移民アドバイザーという仕事は、本当に命が削られると痛感する事がよくあります。今回は審査方法自体がビザルールや規定ポリシーからの逸脱が見受けられ、審査官が挙げた懸念事項について到底納得出来るものではありませんでした。因みに以下が懸念事項と私のコメントです。
この学位を取得するメリットもしくはこの学位を今までの学歴や職歴スキルとどうつなげていくのかについて説明がない。よって、NZに滞在する目的は学業ではないと思われる。→よりビザが発給されやすくなったり、早くビザが発給されるよう法的根拠を示し、なぜこの学位を取得する必要があるのか、またその学位が本人にとってどのようなメリットをもたらすのかを丁寧に整理した弁論書を作成し、申請時に提出していました。本来、学位を取得するメリットを説明することはビザ審査の本質ではありません。この移民官の指摘から判断すると、弊社が作成した弁論書が適切に読まれていないことが明白です。作成にかなり時間がかかっているのに。。申請者が今まで別のビザでニュージーランドに滞在後、今回学生ビザに切り替え申請している。よってメインの滞在目的は該当のコースを就学することではないと思われる。→ 実は、過去にもNZETAから学生ビザへ切り替えた申請者に対し、同様の疑義が呈されたケースがありました。もしこのロジックが成り立つのであれば、ワーキングホリデービザからAccredited Employer Work Visaなど別のビザ申請が認められないだけでなく、短期滞在目的のパートナーワークビザから、永住を目的としたパートナー永住権への申請も矛盾が生じるので発給されないことになってしまいます。 ビザ切り替えだけで懸念を持つとはとても合理的な判断とは思えません。専攻分野が今までのキャリアと異なる。よって本当にこのコースを修了する気があるのかわからない。→この論理が成り立つのであれば、キャリアチェンジのための留学は認められず、ご自身のキャリアパスに沿った留学のみに対して学生ビザが発給されることになってしまいます。まるで、最初からビザを却下する前提で審査されているように感じました。
この学位を取得するメリットもしくはこの学位を今までの学歴や職歴スキルとどうつなげていくのかについて説明がない。よって、NZに滞在する目的は学業ではないと思われる。→よりビザが発給されやすくなったり、早くビザが発給されるよう法的根拠を示し、なぜこの学位を取得する必要があるのか、またその学位が本人にとってどのようなメリットをもたらすのかを丁寧に整理した弁論書を作成し、申請時に提出していました。本来、学位を取得するメリットを説明することはビザ審査の本質ではありません。この移民官の指摘から判断すると、弊社が作成した弁論書が適切に読まれていないことが明白です。作成にかなり時間がかかっているのに。。申請者が今まで別のビザでニュージーランドに滞在後、今回学生ビザに切り替え申請している。よってメインの滞在目的は該当のコースを就学することではないと思われる。→ 実は、過去にもNZETAから学生ビザへ切り替えた申請者に対し、同様の疑義が呈されたケースがありました。もしこのロジックが成り立つのであれば、ワーキングホリデービザからAccredited Employer Work Visaなど別のビザ申請が認められないだけでなく、短期滞在目的のパートナーワークビザから、永住を目的としたパートナー永住権への申請も矛盾が生じるので発給されないことになってしまいます。 ビザ切り替えだけで懸念を持つとはとても合理的な判断とは思えません。専攻分野が今までのキャリアと異なる。よって本当にこのコースを修了する気があるのかわからない。→この論理が成り立つのであれば、キャリアチェンジのための留学は認められず、ご自身のキャリアパスに沿った留学のみに対して学生ビザが発給されることになってしまいます。まるで、最初からビザを却下する前提で審査されているように感じました。
再提出してから2営業日後にビザが発給。移民局が審査ミスを認める
結論として、(本当に必要だったとは思えませんが)追加の弁論書と証拠書類を提出してから、わずか2営業日でビザが発給されました。さらに、通常よりも2か月分多くビザ期限が付与されていました。
今回の申請に関して苦情を申し立てたところ、こちらの主張7点のうち6点について、移民局が正式に審査ミスを認め、謝罪してくれました。ただし、苦情申し立ての結果が出るまでには25営業日かかるため、基本的にビザ申請の結果が出た後に、苦情に対する移民局の回答が通知されることになります。つまり、審査ミスの認定がされていない状態で、誤った審査方法のもとビザ審査が進められることになります。
これまでの経験上、PPIレター発給後に短期ビザが却下されたケースでは、不服申し立てを行い、審査ミスを認めて頂き移民局の却下決定を覆してきました。つまり、一度PPIレターが発行されると、いくら論理的に証拠を提示しながら弁論しても、当初の却下の意向が覆されることなく、不当に却下されるケースがあるということです。
因みに、NZ国外からの短期ビザ申請では、不服申し立ての権利が認められていません。その結果、新たに申請しても同じ理由で却下される可能性が高くなってしまいます。
今回の申請に関して苦情を申し立てたところ、こちらの主張7点のうち6点について、移民局が正式に審査ミスを認め、謝罪してくれました。ただし、苦情申し立ての結果が出るまでには25営業日かかるため、基本的にビザ申請の結果が出た後に、苦情に対する移民局の回答が通知されることになります。つまり、審査ミスの認定がされていない状態で、誤った審査方法のもとビザ審査が進められることになります。
これまでの経験上、PPIレター発給後に短期ビザが却下されたケースでは、不服申し立てを行い、審査ミスを認めて頂き移民局の却下決定を覆してきました。つまり、一度PPIレターが発行されると、いくら論理的に証拠を提示しながら弁論しても、当初の却下の意向が覆されることなく、不当に却下されるケースがあるということです。
因みに、NZ国外からの短期ビザ申請では、不服申し立ての権利が認められていません。その結果、新たに申請しても同じ理由で却下される可能性が高くなってしまいます。
受講プログラムのキャンセル料は支払額の最大25%
NZQAの規定によれば、3か月以上のコースにおいては、教育機関が支払い済みの学費の最大25%をキャンセル料として差し引くことが認められています。(この方の学校は良心的だったので、キャンセル料は$500でした。それでも高額ですが。)つまり、学費に$30,000を支払った場合、ビザが却下されたなどの理由で学校をキャンセルすると、返金時に学校側が最大$7,500を差し引くことが可能ということで、額にするとかなり高額になります。ビザ審査に落ち、学校にも通えず、さらに学費が全額返金されないとなれば、まさに泣きっ面に蜂ではないでしょうか。
追記)小学校教諭は3月26日から「Straight to Residence Visa」の対象となり、NZの職務経験なく、即時申請が可能となります。(その他、基本的な永住権の要件を満たしている必要があります。)
このコラムは、一般的なビザおよび移民法に関する情報を提供することを目的としています。一般的なビザや移民法に関する情報提供を目的としており、法的助言を目的としたものではありません。執筆者および弊社は、本コラムの内容に起因する損害について、一切の責任を負いません。また、免責事項も含めて内容の無断転載および改変を禁止します。政府公認の移民アドバイザーは、移民アドバイザーライセンシング法に基づき、NZ政府より移民アドバイザーライセンスを取得しています。移民アドバイザーと直接やり取りをせず、無資格者を介してやり取りする場合、違法行為である「ラバースタンピング」と見なされ、処罰の対象となる恐れがあります。また、移民アドバイスを受ける際は、必ずアドバイス提供者のアドバイザー番号とその種類を確認することで、違法なアドバイスからの被害を避けることができます。(アドバイザー番号の最初の4桁はアドバイザー資格申請年を示しています。)弊社では、ビザ申請代行が可能かどうかの無料相談は承っておりますが、無料での法的アドバイスのご提供は行っておりません。また、弊社では有料法的アドバイスやビザ申請代理業に加え、不法滞在者のための移民大臣への特別ビザ要請、強制送還や永住権却下時における移民保護裁判所での法定代理業務等移民法に関わる全ての業務を提供しております。本気でビザの取得を目指している方に専念するため、真剣にビザ取得をご希望の方のみ、ご返信およびご依頼をお受けしております。現在多忙につき、受任を制限しております。(執筆日2025年2月17日、加筆日2025年3月5日)
追記)小学校教諭は3月26日から「Straight to Residence Visa」の対象となり、NZの職務経験なく、即時申請が可能となります。(その他、基本的な永住権の要件を満たしている必要があります。)
このコラムは、一般的なビザおよび移民法に関する情報を提供することを目的としています。一般的なビザや移民法に関する情報提供を目的としており、法的助言を目的としたものではありません。執筆者および弊社は、本コラムの内容に起因する損害について、一切の責任を負いません。また、免責事項も含めて内容の無断転載および改変を禁止します。政府公認の移民アドバイザーは、移民アドバイザーライセンシング法に基づき、NZ政府より移民アドバイザーライセンスを取得しています。移民アドバイザーと直接やり取りをせず、無資格者を介してやり取りする場合、違法行為である「ラバースタンピング」と見なされ、処罰の対象となる恐れがあります。また、移民アドバイスを受ける際は、必ずアドバイス提供者のアドバイザー番号とその種類を確認することで、違法なアドバイスからの被害を避けることができます。(アドバイザー番号の最初の4桁はアドバイザー資格申請年を示しています。)弊社では、ビザ申請代行が可能かどうかの無料相談は承っておりますが、無料での法的アドバイスのご提供は行っておりません。また、弊社では有料法的アドバイスやビザ申請代理業に加え、不法滞在者のための移民大臣への特別ビザ要請、強制送還や永住権却下時における移民保護裁判所での法定代理業務等移民法に関わる全ての業務を提供しております。本気でビザの取得を目指している方に専念するため、真剣にビザ取得をご希望の方のみ、ご返信およびご依頼をお受けしております。現在多忙につき、受任を制限しております。(執筆日2025年2月17日、加筆日2025年3月5日)
このコラムは、NZ Daisuki.comにも掲載されました。 https://nzdaisuki.com/column/nzvisa-info-by-nzvp/article-116
執筆者Aki Yamasaki (カンタベリー日本人会協賛会員でGoogle Review5.0のNew Zealand Visa Partner (ニュージーランドビザ申請代行センター)代表およびNZ政府公認移民アドバイザー) Senior Immigration Adviser。ニュージーランドに移住して25年。TOEIC満点、英検1級取得。4か国14学位取得。移民法最高学位GDNZIA取得。雇用法、ビジネス法、商法も大学で学ぶ。NZ国家資格者である移民(ビザ)アドバイザー(ライセンス番号201701307)およびNZ公認教育カウンセラー(ライセンス番号2430150)ほぼ全てのビザ申請を最終的に発給に導く。自身の申請経験をきっかけに、ビザ申請者の気持ちが分かる熱血派の移民法専門家になる。移民法、ビザルールに関する法的助言提供、ビザ申請代行、移民局との交渉、面接同席、弁論書作成だけでなく、単独で移民保護裁判所の法定代理人にもなれるフルライセンスアドバイザーであり、案件を最初から最後まで担当。緊急時は時間外も対応。却下決定をも覆し、不法滞在、申請却下歴、入国拒否歴、警告があるケースや弁護士でも却下されたケースさえも成功に持ち込む。法律知識、分析力、移民局への弁論書に定評があり、多数の感謝状を頂く。(審査官からも称賛を得る)弊社で申請代行可能か無料査定中。質問への回答を含む法律相談は有料(ご相談後2か月以内に申請代行サービスにお申込み頂いた場合は、相談料を相殺)。本気でビザを取得したい方のみの限定受任。法的助言や弁論書作成、移民局とのやり取りを含む申請代行または契約前の有料相談(1時間まで$230+GST)のお申込はフォームへご記入後送信下さい。NZ国内外オンライン対応。電話番号(NZ) 03 669 0110 (日本)050 5539 0585 (お電話は有料相談や申請代行についてのお問合せのみ)平日NZ時間9時から19時まで(月曜から金曜)
info@nzvisapartner.com nzvisapartner.com jp.newzealandvisapartner.com https://twitter.com/akiyamasakiNZVP