第41回 移民法だけでなく雇用法違反でも命取り!?
友人の移民アドバイザーから難しいケースの代理人を打診されました。
悪質な雇用法違反の雇用主は公開及びビザサポート停止
- 打診があったのは、雇用にも関係する、移民保護裁判所に提訴しなければいけない案件で、私の腕を買って声をかけてくれたと思うと嬉しい限りではありますが、申請者の方を見て最終的には判断させて頂こうと思っています。ここまで難しい例は稀なのですが、雇用法違反の案件はかなり厄介でもあります。最低賃金以下での雇用やホリデーペイの未払いはもちろん、不当な天引きなどに対しては、MBIE省最高行政官の判断で、Standdown listに掲載され、一定期間、ビザサポート自体が出来なくなります。過去にも、有名ファーストフードチェーンがこの不名誉な認定を受け、Standdown listに名前が掲載されたことがありました。因みに、移民法の定めで、移民搾取で有罪判決が出された永住権保持10年未満の雇用主は、強制送還の対象となります。
Migrant Exploitation Protection Work Visaが新設
移民搾取に苦しむEssential Skills Work Visaなどビザサポートを受けたビザ保持者向けに新たなビザが発表されました。ステップとしては、関係省庁に、まず電話もしくはオンラインフォームにて搾取について報告。報告内容に信頼性が持てると判断され、捜査についてのレポートが発行された場合は、発行後1か月以内にMigrant Exploitation Protection Work Visaを申請という流れになります。ビザは、最大6か月間のOpen workで、どの雇用主の下でも働くことが出来ます。
政府は2017年に60人に増やした労働規準監督官を2020年までに更に110人にまで増やす意向を示していました(RNZ、2017年11月6日)。移民搾取の問題に対応するため、割り当てられた5000万ドルの予算の一部で労働基準監督局内に移民搾取のセクションが設けられ、捜査はスピーディーに行われるようです(Newsroom, 2021年7月8日)。
このビザによって、労働環境が悪い中、我慢してビザのために働き続けることも、辞めてビザを失うこともなく、他の就職口を探すことが出来るようになりました。6か月というビザ発給期間は十分なのか、実際、捜査が完了してレポートが発行されるまでどれくらいかかるのかという点等について個人的には気になりますが、移民局の対応としては、一定の評価をしてもいいのではないかと思っています。
政府は2017年に60人に増やした労働規準監督官を2020年までに更に110人にまで増やす意向を示していました(RNZ、2017年11月6日)。移民搾取の問題に対応するため、割り当てられた5000万ドルの予算の一部で労働基準監督局内に移民搾取のセクションが設けられ、捜査はスピーディーに行われるようです(Newsroom, 2021年7月8日)。
このビザによって、労働環境が悪い中、我慢してビザのために働き続けることも、辞めてビザを失うこともなく、他の就職口を探すことが出来るようになりました。6か月というビザ発給期間は十分なのか、実際、捜査が完了してレポートが発行されるまでどれくらいかかるのかという点等について個人的には気になりますが、移民局の対応としては、一定の評価をしてもいいのではないかと思っています。
搾取とまではいかない小さな雇用法違反でもブラックリスト入り?
Standdown list以外に、ビザ審査中に雇用法違反が移民局に認定され、移民局が管理する雇用者についてのファイルに掲載されることもあります。例えば、雇用契約書規定の時給が払われていない、最低就労時間を下回っていることが判明した時などが挙げられます。その場合、ビザ発給が非常に困難になります。(一応、移民保護裁判所の判例では、移民局が雇用法違反がどうか判断する際に、1つの違反で決めるのではなく、いろいろな要素を考慮する必要性を説いています。)
雇用法は厄介な分野で、不備があると、最悪のケースではEmployment Relations Authorityという裁判所への提訴まで発展し、時間、労力、訴訟費用がかかる上、通常、実名で判決文がオンラインで公開されてしまうことがあります。
大学で雇用法について学ぶことが一番良いのですが、フルタイムで働きながらの勉強ですと、プライベートがなくなるくらい時間が取られます。(かなりの判例を勉強するので、結構骨が折れます。)しかし、通常の雇用関係だけでなく、雇用法遵守もビザ申請の審査に関わってくる大事な部分ですので、知識として取り入れることは大事な事だと考えます。頑張っているスタッフが、約2年審査を待ったあと審査官に雇用法違反を指摘され永住権申請が却下となり、更に他のスタッフのビザ申請にも悪影響が出てしまっては、雇用主の方も泣くに泣けませんので。
雇用法は厄介な分野で、不備があると、最悪のケースではEmployment Relations Authorityという裁判所への提訴まで発展し、時間、労力、訴訟費用がかかる上、通常、実名で判決文がオンラインで公開されてしまうことがあります。
大学で雇用法について学ぶことが一番良いのですが、フルタイムで働きながらの勉強ですと、プライベートがなくなるくらい時間が取られます。(かなりの判例を勉強するので、結構骨が折れます。)しかし、通常の雇用関係だけでなく、雇用法遵守もビザ申請の審査に関わってくる大事な部分ですので、知識として取り入れることは大事な事だと考えます。頑張っているスタッフが、約2年審査を待ったあと審査官に雇用法違反を指摘され永住権申請が却下となり、更に他のスタッフのビザ申請にも悪影響が出てしまっては、雇用主の方も泣くに泣けませんので。
追記)入国制限についての発表が8月12日に、永住権関連のアップデートが1か月以内にあるとの首相のコメントが報じられました。(NZ Herald 8月2日)
本コラムは一般的なビザ、移民法等の情報提供で、法的助言を目的としていません。執筆者及び弊社は、本コラムの内容等に起因する損害について、一切の責任を負わないものとします。この免責事項も含めて内容の無断転載及び改変を禁止します。法的アドバイスやビザの申請代行をご希望の場合はお問合せ下さい。(執筆日2021年8月2日)
このコラムは、NZ Daisuki.comにも掲載されました。 https://nzdaisuki.com/column/nzvisa-info-by-nzvp/article-41
執筆者
Aki Yamasaki (ニュージーランドビザ申請代行センター代表およびNZ政府公認移民アドバイザー) ニュージーランドに移住して23年。TOEIC満点、英検1級取得。14学位取得。移民法最高学位GDNZIA取得。雇用法、ビジネス法、商法も大学で学ぶ。NZ国家資格者である移民(ビザ)アドバイザー(ライセンス番号201701307)自身の申請経験をきっかけに、ビザ申請者の気持ちが分かる熱血派の移民法専門家になる。移民法、ビザルールに関する法的助言提供、ビザ申請代行、移民局との交渉、面接同席、弁論書作成だけでなく、単独で移民保護裁判所の法定代理人にもなれるフルライセンスアドバイザーであり、案件を最初から最後まで担当。緊急時は時間外も対応。却下決定をも覆し、不法滞在、申請却下歴、入国拒否歴、警告があるケースや弁護士でも却下されたケースさえも成功に持ち込む。法律知識、分析力、移民局への弁論書に定評があり、多数の感謝状を頂く。(審査官からも称賛を得る)弊社で申請代行可能か無料査定中。質問への回答を含む法律相談は有料(ご相談後2週間以内に申請代行サービスにお申込み頂いた場合は、相談料を相殺)。本気でビザを取得したい方のみの限定受任。法的助言や弁論書作成、移民局とのやり取りを含む申請代行または契約前の有料相談のお申込はフォームへご記入後送信下さい。NZ国内外オンライン対応。電話番号(NZ) 03 669 0110 (日本)050 5539 0585 (お電話は有料相談や申請代行についてのお問合せのみ)平日NZ時間9時から19時まで(月曜から金曜) info@nzvisapartner.com
Aki Yamasaki (ニュージーランドビザ申請代行センター代表およびNZ政府公認移民アドバイザー) ニュージーランドに移住して23年。TOEIC満点、英検1級取得。14学位取得。移民法最高学位GDNZIA取得。雇用法、ビジネス法、商法も大学で学ぶ。NZ国家資格者である移民(ビザ)アドバイザー(ライセンス番号201701307)自身の申請経験をきっかけに、ビザ申請者の気持ちが分かる熱血派の移民法専門家になる。移民法、ビザルールに関する法的助言提供、ビザ申請代行、移民局との交渉、面接同席、弁論書作成だけでなく、単独で移民保護裁判所の法定代理人にもなれるフルライセンスアドバイザーであり、案件を最初から最後まで担当。緊急時は時間外も対応。却下決定をも覆し、不法滞在、申請却下歴、入国拒否歴、警告があるケースや弁護士でも却下されたケースさえも成功に持ち込む。法律知識、分析力、移民局への弁論書に定評があり、多数の感謝状を頂く。(審査官からも称賛を得る)弊社で申請代行可能か無料査定中。質問への回答を含む法律相談は有料(ご相談後2週間以内に申請代行サービスにお申込み頂いた場合は、相談料を相殺)。本気でビザを取得したい方のみの限定受任。法的助言や弁論書作成、移民局とのやり取りを含む申請代行または契約前の有料相談のお申込はフォームへご記入後送信下さい。NZ国内外オンライン対応。電話番号(NZ) 03 669 0110 (日本)050 5539 0585 (お電話は有料相談や申請代行についてのお問合せのみ)平日NZ時間9時から19時まで(月曜から金曜) info@nzvisapartner.com